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Twitterまとめ投稿 2017/11/07 [moblog]


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「たのしいプロパガンダ」 [電子書籍]


たのしいプロパガンダ (イースト新書Q)

たのしいプロパガンダ (イースト新書Q)

  • 出版社/メーカー: イースト・プレス
  • 発売日: 2015/09/10
  • メディア: Kindle版


内容紹介
本当に恐ろしい大衆扇動は、
娯楽(エンタメ)の顔をしてやってくる!
戦中につくられた戦意高揚のための勇ましい軍歌や映画は枚挙に暇ない。しかし、最も効果的なプロパガンダは、官製の押しつけではない、大衆がこぞって消費したくなる「娯楽」にこそあった。本書ではそれらを「楽しいプロパガンダ」と位置づけ、大日本帝国、ナチ・ドイツ、ソ連、中国、北朝鮮、イスラム国などの豊富な事例とともに検証する。さらに現代日本における「右傾エンタメ」「政策芸術」にも言及。画期的なプロパガンダ研究。

「プロパガンダ」というと、
ナチスや旧共産圏の国ぐにを思い浮かべることが多いだろう。
事実当時のポスターなどは、
その内容はともかくとして、
美術的には非常に価値が高いと思われるものが多い。
今見てもそこに書いてある文句は別にして、
その構図や訴求力の強さは目を見張るものがある。
一方戦前の日本はださい。
わかりやすいという点は評価するが、
欧米のプロパガンダと比べると、
どこか国民をバカにしているというか、
「とにかく国の言うことに従いなさい」ということしかない。
「プロパガンダ」とはそういうことではないと解釈している。
直接的なメッセージのみならず、
それを目にする耳にすることによって、
知らず知らずのうちに思想や思考が変えられていく。
それこそが「プロパガンダ」の真骨頂だと思うのだ。
ちなみに戦前日本のプロパガンダという点では、
民間企業の広告の方がよほど優れていた。
官僚、軍部指導の直接広告がダサいという点では、
今も昔も変わらない。

時代は変わって現代。
現在は力を落としているイスラム国ではあるが、
彼らのメディアを駆使したプロパガンダはすさまじい。
もともとイスラム圏のテロリストにはありがちなのだが、
視覚的効果、キャッチフレーズ効果を多用する。
そのあたり日本の政党にも見習ってほしいくらいだ。
(その思想や行動は見習っていただく必要はない)
北朝鮮のプロパガンダは言うに及ばずだろう。
何しろ独裁政治のもとで、
どこまでが本当でどこまでがウソなのかわからない指導者を仰ぎ、
「この国こそこの国の指導者こそ世界一」と思わせるのだから、
そのプロパガンダと教育は徹底したものである。
興味深かったのは金正日の映画を使ったプロパガンダである。
「プルガサリ」という怪獣映画は日本人も技術協力しているので知ったいたが、
それ以外にも抗日教育の一環として多くの映画を作っていた。
実際今Amazonを検索すると日本でも入手できるのだ。
もちろん観ていないけれど、
大体の内容は想像がつく。
娯楽(エンタメ)を利用した金正日のプロパガンダは、
非常に効果的だったことだろう。
ちなみに戦前日本でも同じように、
国威発揚映画が作られていたことはもちろんだが、
抑圧されて娯楽が少なければ少ないほど、
その娯楽によって洗脳されてしまう可能性は高くなる。
というか、
自分たちがつらい目に遭っているのはこういう意味があるのかと、
自家撞着に気づかずに自分たちを納得させるしかないからである。

では現代日本は?

最近やたらと目につく萌え系アニメとのコラボである。
私はゲームもやらないし、
萌え系にも全く興味がないので知らなかった。
筆者はこの本の中で右傾化する日本のプロパガンダにも触れている。
やり玉に挙がっているのが百田尚樹であり、
自衛隊の募集ポスター、防衛省の広報誌である。
百田尚樹という人がどういう人かは今更書くこともないが、
日本中が涙したという触れ込みの「永遠の0」を読んでも、
私にはどうしても納得がいかないことが多すぎた。
百田尚樹というエンターテイメント作家は幅広いので、
面白い作品もたくさんあるのだが、
首相とお友達になってからどうもきな臭さに拍車がかかり、
しょっちゅう炎上しているのは周知のとおりである。
これをプロパガンダに含めるのであれば、
余りに稚拙なプロパガンダだと言わざるを得ない。

本書は現在の日本のプロパガンダを評するために、
右傾化を批判しているようになってしまった。
その点は非常に残念であり、
中立的に評してほしかったと思うのだ。
それをどう受け取ってどう感じるかは読者に任せてほしかった。

噂の範疇でしかないが、
ここで取り上げられなかった事象や歌舞曲など、
プロパガンダであったといわれるものは多い。
大衆は娯楽(エンタメ)に乗せられて、
実に巧妙に誘導されていくものである。
それに気づいたとしても多勢に無勢、
少数がそれに抗したとしても無意味な場合は多い。
こうしたプロパガンダに抗するのに一番効力を発するのは、
トロイの木馬かもしれない。
取り込まれたふりをして腹の中から食い破る。
もちろんそんな時代が来ないことを祈るが、
世界中であふれるプロパガンダは決して止まることはない。
覚えておかなければならないのは、
プロパガンダは「たのしい」ということだ。
人々の興味を誘い、
巧みに精神に浸透していく。
気が付いた時には・・・。

もう少し資料の内容を充実させてほしかったところだが、
これはこれでなかなかに面白い読み物であった。


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