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「藝人春秋2 上 ハカセより愛をこめて」「藝人春秋2 下 死ぬのは奴らだ」 [電子書籍]


藝人春秋2 上 ハカセより愛をこめて (文春e-book)

藝人春秋2 上 ハカセより愛をこめて (文春e-book)

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/11/30
  • メディア: Kindle版



藝人春秋2 下 死ぬのは奴らだ (文春e-book)

藝人春秋2 下 死ぬのは奴らだ (文春e-book)

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/11/30
  • メディア: Kindle版


内容紹介
芸能界に潜入したスパイ、水道橋博士の極秘レポート!
週刊文春の連載「週刊藝人春秋」に大幅加筆。橋下徹からタモリまで芸能界の怪人奇人を濃厚に描くノンフィクション。抱腹絶倒の上巻。
内容紹介
水道橋博士による芸能界での諜報活動の集大成!
水道橋博士生放送降板事件の真実、石原慎太郎と三浦雄一郎のミステリー、感涙のエピローグなど書き下ろしも。疾風怒濤の下巻。

水道橋博士の文才はわかっていた。
「藝人春秋」も「本業」も読んでいたから。
なんというか切れ味のいいいやらしさのない文章で、
個人的に相性が良いと思える。
この本の設定そのものは「?」と思うところもあるのだが、
博士なりの視点と調査で「ここまで書くか」というところまで、
我々一般大衆が知りえない業界の裏まで書き込んでいる。
ある一部の人には「どうでもいい」ことなのだろうが、
いろいろな騒動があった人に関しては、
「そういうことか」と思わず声に出そうなところもあり、
なかなかにサスペンスフルな内容でもある。

中でも圧巻だったのは石原慎太郎と三浦雄一郎の因縁と確執である。
そこに田中角栄まで絡んでいるのだから、
この両雄の話が面白くないはずがない。
ネタバレするのは避けるが、
石原慎太郎という人は実に不思議な人であり、
天才なのか天災なのかわからない。
もちろん両方なのだが、
その被害を被った三浦雄一郎の事の真相を語るさまもスゴイ。
何とも不思議なのだが、
石原慎太郎が天才ならではの執着体質であるとすれば、
三浦雄一郎は天才ならではの意に介さない体質なのだ。
石原慎太郎が一つ一つを身にまといながら前に進むとすれば、
三浦雄一郎は自らが向かうところに不要なものは忘れて前に進む人だ。
この二人の物語を読むだけでも価値がある。
二人ともまっすぐな人間であるにもかかわらず、
そのベクトルが全く違う方向を向いている。
だからこそ両雄並び立たずなのである。

それにしても、だ。

水道橋博士が長らくうつ病にり患していたとは、
まったく予想だにしないことだった。
たけし軍団の一人として数々の武勇伝には事欠かず、
相棒玉袋筋太郎とともにやらかしたこと、
水道橋博士としてやらかしたこと、
もうその芸歴以上に箔がついている。
頭のいい人だということもわかっていたが、
ご本人が本書までその病歴を明かしたことがなかったのだ。
さらには本書に登場する人に関しても、
うつ症状に悩んでいたことを生々しく記している。
「気分障害」といわれることがあるほどに、
うつ病という病気は上下動がある。
日々を安定して過ごせるならばそれはもう寛解に近い。
しかしそれとていつまた波が押し寄せるかわからない。
そのくらいにこの病気は厄介である。
原因もわかっていないし特効薬もない。
もしわかっているとすれば、
原因は人それぞれであり、
寛解のためには人それぞれの治療法が必要であるということだ。
その波をかき分け溺れながらも、
本書をなんとか書き上げたのには感服。

「藝人春秋」とはいうものの、
登場するのは広義の「藝人」であり、
世間的認識ではそうではない人もいる。
また人によっては遠慮が感じられるところもあり、
それなりに掘り下げ方にムラも感じられる。
しかし個人的には充分に堪能させていただいた。
全編通して見事とはいいがたいが、
それはそれで面白い。
なによりかなり一気に読んでしまったことが、
そのことを証明している。


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「噂は噂 壇蜜日記4」 [電子書籍]


噂は噂 壇蜜日記4 (文春文庫)

噂は噂 壇蜜日記4 (文春文庫)

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2018/01/04
  • メディア: Kindle版


内容(「BOOK」データベースより)
くしゃみの止まらない猫のために空気清浄機を買い、「不条理の利用」を女子に説き、寿司屋の看板を見て「寿司良いなぁ」と涙し、男の優しさの先にある苦くて甘い「取り返しのつかない何か」をかじりたくなる…“壇蜜”の日常を瑞々しくも不穏な筆致で綴って大反響を呼んだシリーズ、これがまさかの読み納め!?書下ろし日記第四弾。

「壇蜜さん、どうしたの?」と思うくらい、
ネガティブな発言が続く。
世間からどう思われているか、
自意識過剰なんじゃないかと思う。
最近はTV自体あまり観ないので、
ラジオでの壇蜜さん中心なのだが、
余りそういう風には思っていなかった。
かわいい愛猫や魚の話も減って、
なにやらつらそうな話が増えている。
そういうところを隠さないのが壇蜜さんらしいといえばらしいのだが、
「これで終わり」だとしても仕方ないと思ってしまう。

彼女特有の表現方法や、
ものの見方や経済観念、
そういうものが大好きだったのに、
仕事が変わったのか、
忙しいのか、
壇蜜さんの文章にも「疲れ」を感じてしまう。

いつもは面白くて一気読みしてしまうのに、
なんだか今回はいろんなことを考えつつ、
いろんなことを心配して滞ってしまった。

「経年劣化」は誰にでもあるけれど、
もともと遅くからグラビアデビューした壇蜜さんには、
あれこれ言われることも多かったのだろうし、
彼女の才能は識者ほど認めるところだし、
そんなに卑下しなくてもいいはずである。

もっとも白髪が増えたり、
皮膚がたるんだり、
身体のバランスを取りにくくなったり、
自分で感じてしまう経年劣化はつらいものである。

壇蜜さんならそれを乗り越えられる。
そういう存在だと信じているのだが。

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「プラージュ」 [電子書籍]


プラージュ (幻冬舎文庫)

プラージュ (幻冬舎文庫)

  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2017/06/28
  • メディア: Kindle版


内容(「BOOK」データベースより)
仕事も恋愛も上手くいかない冴えないサラリーマンの貴生。気晴らしに出掛けた店で、勧められるままに覚醒剤を使用し、逮捕される。仕事も友達も住む場所も一瞬にして失った貴生が見つけたのは、「家賃5万円、掃除交代制、仕切りはカーテンのみ、ただし美味しい食事付き」のシェアハウスだった。だが、住人達はなんだか訳ありばかりのようで…。

WOWOWでドラマ化されて、
設定はなんとなく知っていたけれど、
ドラマは観る気にならなくて活字で。

前科者が職を見つけられない、
住むところが見つけられない、
たとえ見つかってもどこからか前歴がばれて、
けっきょく再犯するに至るという負のスパイラル。
その話は非常によく語られる。
罪を償って社会に戻っても、
親兄弟さえ受け入れてくれない人もいるという。
では自分はどうかといえば、
事情はあっても人を殺した人が横にいたら、
偏見なしに感情的に受け入れられるか?
それはその時になってみなければわからない。

シェアハウスに暮らすそれぞれの視点で、
少しずつ少しずつ明かされていく彼らの過去。
主人公貴生の一回限りの覚せい剤使用なんて甘いものだ。
もっともっとヘビーな過去を持つ人間ばかり。
それを受け入れる潤子もまた、
なぜこんなシェアハウスを営んでいるのか謎。
話が進むにつれて、
薄紙をはがすように少しずつそれぞれの事情が明かされ、
それとともに心の中がわかっていく。
そして潤子がなぜこのシェアハウスを作ったのかも。

なかなかにヘビーなことも多いのだが、
基本的には優しい物語である。
脛を傷を持つものだからこそわかる、
それぞれが抱える事情への配慮や踏み込まない優しさ。
だからこそ芽生える連帯感。
警察のお世話になったことはなくても、
誰でも一つや二つ心の傷というか、
何かしら後ろめたいところがあるだろう。
それを考えてみたら、
彼らと自分たちの境界線なんて存在しないのだ。
その境界線を取り払う努力をする人たちが、
ドキュメンタリーなどで取り上げられるが、
そういうことが行われているうちはだめなんだと思う。
たとえ前科があっても、
その人の「今」と「未来」をみつめて付き合えないと。

全体的に軽妙な文体とノリで読みやすいが、
実はかなり深い物語だと思う。
今や刑務所も高齢化が著しく、
たとえ出所しても職にもつけず家も見つけられず、
「刑務所の方が居心地が良い」と再犯する人もいるそうだ。
もしかすると刑務所は一般社会の縮図かもしれない。
だとしたら、
彼らはとても貴重な「経験者」である。
濃密な経験を経てきた彼らを、
社会が受け入れることは案外大切なことになるかもしれない。
理想論ではなく、
登場人物たちの来し方を読んでいてそう思った。

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「オプエド 真実を知るための異論・反論・逆説」 [電子書籍]


オプエド 真実を知るための異論・反論・逆説

オプエド 真実を知るための異論・反論・逆説

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 中経出版
  • 発売日: 2017/11/16
  • メディア: Kindle版


内容紹介
インターネット報道番組「ニューズ・オプエド」は、マスメディアが恣意的に伝えない重大な事件を日々報道、ユーザー数は増え続け、現在30万人(2017年11月時点)の視聴者を有する。オプエドとは「ニューヨーク・タイムズ」が導入した、同じ新聞内で社外の識者らを起用し社説とは反対の意見を掲載する手法。
ゲストコメンテーターは、話題の渦中にいる政治家を始め、事件の当事者や評論家、作家、文化人、タレントらが次々登場。思想や政党の垣根を超え、考え方を異にする人たちが大手マスコミが取り上げない様々な出来事の真相を語り、それに対しての反論があればすぐにスタジオに呼ぶ。政治の裏側・実態を熟知しジャーナリストとしても活躍してきた番組のプロデューサー・上杉隆が、執念の取材活動の舞台裏を明かす。
日本で唯一当選直後のトランプ米大統領と安倍首相のゴルフ場での会談を独占取材したスクープ映像は、全米4大ネットワークであるFOXやアルジャジーラなど世界を駆け巡った。報道後進国に成り下がった日本のメディアの現状に風穴を開ける「ニューズ・オプエド」の記録。

上杉隆という人は損をしている。
今はTVに出演することもほとんどなくなったが、
10年ほど前さかんにコメンテーターをしていたころ、
どんなまじめな話も独自のユーモアで笑わせるというか、
混ぜ返すところがある。
言っていること、書いていることは非常にまじめなのだが、
とにかく茶々を入れるというか、
ふざけるというか、
本質をとらえていれば何とも思わないが、
そこだけクローズアップしてしまうと不快に思う人もいただろう。

その上杉さんが作り上げた「ニューズ・オプエド」。
番組が成立するまでに、
こんな苦労や交渉があったとは。
もちろんいくらインターネット番組でも、
簡単でも安くもないことは理解していたが、
やはり上杉さんがやり続けてきたことがものを言ったのだ。

今のこの国のマスメディアに対して、
何の疑問も持たないとしたら、
それはもう記者クラブや御用メディアに洗脳されている。
一つ一つがおかしなことばかりなのに、
なぜこの国は追及されないのか。
それこそ「忖度」で物事が動いて決まるのか?
では正しいメディアの在り方とは何なのか?

その答えがここにある。

上杉隆という人は正直で、
自分が信じたことにはまっすぐな人である。
だから一瞬疑問に思うこともあるかもしれない。
ただそれは彼の信念に基づくものであり、
間違えていれば訂正することは厭わない。
「ニューズ・オプエド」はまだマスではない。
しかし目指すところはマスではない。
マスであるがゆえに不自由になってしまう。
官房機密費や記者クラブの問題性について、
上杉さんが言及できたのも、
あくまでも本来のメディアのあるべき姿、
権力への批判、権力への疑問を呈す立場にあるからだ。
だからこそせめて自分だけはと思うのだ。
周囲をみればTVや大手新聞の報道を信じ切っている。
私は彼らの平和を覆そうとは思わない。
それで幸せなのだから。
だからこそ「ニューズ・オプエド」発信で、
彼ら自身に疑問を感じてほしいのだ。

その日が来るのかはわからない。
しかしその日を信じるしかない。

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「ヘンな論文 【電子特別版】」 [電子書籍]


ヘンな論文 【電子特別版】 (角川学芸出版単行本)

ヘンな論文 【電子特別版】 (角川学芸出版単行本)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川学芸出版
  • 発売日: 2015/03/25
  • メディア: Kindle版


内容(「BOOK」データベースより)
おっぱいの揺れ、不倫男の頭の中、古今東西の湯たんぽ、猫カフェの効果…なかなか見る機会のない研究論文。さがしてみれば仰天のタイトルがざくざく…。こんなことに人生の貴重な時間を割いている人がいるなんて!

私は東京ポッド許可局のファンである。
きっかけは忘れたw。
ただTBSで放送される前、
本当に細々とPodcastでやっていたころからのファンである。

然るにこの本ももっと早く読みたかった。
しかし次から次へと新刊本は出るし、
古い本にも興味はある。
自分にとって「旬」の作家や本というものもある。
残念ながらこの本はなかなか「旬」にはならず、
まぁそんなところが東京ポッド許可局らしいともいえるのだが。

本当にへんな論文ばかりである。
というか、
「研究対象そこ?」の突っ込みが入るようなものばかり。
ここが私の凡人たるゆえんかもしれない。
そこで研究にすり替えることができる人こそ、
研究者であり学者肌であるのだろう。
そりゃ男なら走る乙女の揺れる胸元に目を奪われるだろう。
しかしそこで、
「じゃあ、揺れることでブラとのずれはどうなるのか?」
そう考える人が素晴らしいのである。
そもそもそういう研究はワコールとかトリンプとか、
下着メーカーの開発担当者とかがしていそうなものだが、
それを「生業」としている会社員は論文にはしない。
論文にする会社員もいることはいるが、
工業系とか理系とかの会社に多いのではないか。
いや、下着だって立派な人間工学なんだけど。

数ある変な論文の中で、
際立っているのが「湯たんぽ」の研究である。
今やいろいろな素材や大きさが揃い、
そのカバーにファッション性まで求められる湯たんぽ。
優しい温かさとエコな印象で人気である。
昔はアルマイト性の不格好な入れ物をタオルなどにくるみ、
低温やけどしないように気を使って使用していたというのに。
その湯たんぽ、
はてさていつから使われているのか?
そもそもそんなことを考えたことがない。
歴史の教科書にも出てくることがない。
大体日本発祥のものなのか?
どんな変遷をたどってきたのか?
それを研究した結果、
理想の湯たんぽまで作ってしまった研究者がいる。
実に純粋に湯たんぽを突き詰めた結果、
使い買ってはともかくとにかく保温性が高い、
奇妙な湯たんぽを作ってしまったのである。

しかし電子書籍版の白眉はその後である。
ひょんなことでこの研究者と直接会うこととなる筆者であるが、
その後何とも言えない悲しい結末が待っていた。
これは読むことでぜひ味わってほしい、
小保方問題にも通じる悲劇である。

研究者にとって「違い」に大きいも小さいもない。

そのことを筆者は繰り返す。
なるほど、
そういうことにこだわるからこその研究なのである。
逆に言えば凡人が見落とす小ささこそが、
研究者の心をくすぐるのだ。

論文は誰が書いても良いものである。
それが採用されるか、
世に認められるかは別問題。
疑問に思ったら研究してみる。
うん、子供ってみんな小さな研究者だよね。

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「ドラマ鬼平犯科帳」ができるまで [電子書籍]


「ドラマ鬼平犯科帳」ができるまで (文春文庫)

「ドラマ鬼平犯科帳」ができるまで (文春文庫)

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/01/06
  • メディア: Kindle版


内容紹介
鬼平犯科帳は永遠に!!
昨年、遂に幕を閉じたTV「鬼平犯科帳」シリーズ。
その長い歴史を振り返り、製作スタッフの貴重な証言を聞き取るファン必読の書。
28年間に渡り放送された「鬼平犯科帳」。
その人気の秘密を番組スタッフのプロデューサーから殺陣師や録音技師、美術監督などに直接インタビュー。
今の世で正統的時代劇を放送する上での、苦労話、ここだけの話、内緒の話がテンコ盛り。
さらに「オール讀物」に掲載された「鬼平」関連の記事も収録。
目次
序章 鬼平、京都へ行く
第一章 スタッフインタビュー
第二章 ドラマ『鬼平』の魅力を検証する
終章 鬼平、京都を去る

基本的にあまり時代劇は観ない。
子供のころ親の付き合いで「大岡越前」など観たが、
その頃は「勧善懲悪」の単純さに、
特に何を感じることもなかった。
ひねた子供だったのだ。
この歳になっても、
大河ドラマは主演や脚本が興味深い時だけ。
所詮「フィクション」だと思っているので、
それで歴史について詳しくなろうなどとは思わず、
普通のドラマを観る感覚でしかない。
そして世にも珍しいかもしれないが、
「鬼平犯科帳」を一話たりとも観たことがないのであるw。
私の周りに鬼平ファンは多いけれど、
そこでそっぽを向くへそ曲がりぶりで通してきた。
もちろん原作すら読んでいない。

その私がなぜこの本を読み始めたか。
簡単である。
春日太一が熱を入れて書いた作品だからだ。
著者を知ってから古い時代劇を観るようになった。
特に市川雷蔵はお気に入りである。
もっとも市川雷蔵に関しては「陸軍中野学校」からのファンではあるが。

何も知らずに読み始め、
最初のうちはノロノロと読み進めていたものが、
スタッフの話あたりからがぜん面白くなり、
著者が嘆く「時代劇が滅びる」現実と照らし合わせながら、
なぜ世にもまれな時代劇が生まれたのか、
実に興味深く読み進んでいった。

そして実際のドラマの内容を踏まえた検証、
スペシャル枠になってからの切れのなさへの言及、
脳内で知っている範囲の鬼平が動き回りながら、
あまりの面白さにノンストップ状態だった。

おそらくこの後もすべての鬼平を観ることはないだろう。
ただ折あらば「観てみたい」という気持ちにもなれた。
それは何よりも、
まったく知らなかったこの作品の主役である。
「鬼平犯科帳」という題名から、
勧善懲悪ものとすっかり思い込んでいたが、
実は主役はいろいろな事情を抱えた盗賊たちであり、
鬼平が抱える密偵たちの物語に魅了されたからである。

むろん池波正太郎の原作を読破する手もある。
しかし今のところ、
積読が山のようにあり、
Blu-rayもDVDも山積みである。

この一冊で鬼平のすべてを味わったとは思わないが、
その一端でも知ることができて、
魅力を感じることができたのは至福である。

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おしゃれはほどほどでいい 「最高の私」は「最少の努力」で作る [電子書籍]


おしゃれはほどほどでいい 「最高の私」は「最少の努力」で作る (幻冬舎単行本)

おしゃれはほどほどでいい 「最高の私」は「最少の努力」で作る (幻冬舎単行本)

  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2017/10/24
  • メディア: Kindle版


内容紹介
自分を変えるのはこんなにカンタン!
「赤い口紅」と「お気に入りの一着」があればいい。
だって私たちには、時間がないんですもの。
元ピチカート・ファイヴのおしゃれカリスマがたどりついた、「見た目」と「幸せ」の方程式。
「今の私って、案外悪くない」とずっと思っていたい。でも、「特別なことは何もやっていない」。
ピチカート時代から変わりなく、おしゃれさ、輝きを保ち続ける、野宮真貴さん。しかし、冒頭のように、「特に何もしてない」とおっしゃいます。でもどうやら、特別なことはやっていないけれど、特別じゃないことを続けていらっしゃるよう。野宮さんが「今が最高の私」と言えるために続ける「特別じゃないこと」「普通のこと」がギュッと凝縮された一冊です。
たとえば――、
・いつも同じ服でいい。
・いざという時は黒に頼る。
・ワンピースは最強最速のおしゃれ着。
・アクセサリーはどんどん重ねづけする。
・ブローチがあれば服にストーリーが生まれる。
・赤い口紅だけできちんとメイクが演出できる。……などなど
手っ取り早く見た目を整えて、余った時間とお金は他の人生の楽しみに使いましょう!

思えば渋谷系でしたw。
バブルの時代休みの日には渋谷へ繰り出し、
ファッションは丸井か西武でお買い物。
人生の先行きなんて何も考えていなくて、
自分の好きなファッションにまみれて、
一番幸せな時代だったかも。

それから四半世紀。
今の私はファストファッションのおばさん。
「どうせ誰に見せるわけでもなし、
 どうせ誰が観ているわけでもなし、
 清潔で小綺麗にしていれば充分。」
ちょっとしたお出かけ着は別にして、
普段着はファストファッションまみれ。
それがいきなり変わったのがおととし。
IY、西武そごうとのコラボでジャンポール・ゴルチエ復活。
そこで火が付いた再びのおしゃれ心。
財布のひもが一気に緩んで、
身の程知らずに買いまくる。
そこに知った野宮さんプロデュースの赤い口紅。

「あ、今までの私は本当にただのおばさんだったんだ」

自分ではそれなりにしているつもりでも、
「ちゃんとしている」ことから遠ざかっていたのだと実感。

で、今年の衣替えで気が付いた。

「ほどほどに良いもので良いから、
 もうそんなにたくさんはいらない。」

安いものはそれ以上の価値がなければ2年目にはリサイクルへポイ。
その代わり気に入ったものは、
大事に切るし洗うししまうし、
それころ「ちゃんと」扱っていることを実感。

そこにこの本の登場。

もういちいちもっともでぐうの音も出ませんw。
もちろん野宮さんのようにスタイルもよくないし、
芸能人ではないから彼女の真似はできないけれど、
「ちゃんとする」「過剰にしない」
そのことを改めて実感。
それを踏まえての「ほどほど」。
得てしておばさんは過剰になりがち。
化粧も服もやりすぎになりがち。
そこをマイナスしていくことで、
スタイリッシュな自分になっていく。
そう。
ゴルチエの服もKenzoの服も、
一見過剰に見えるし過激にも感じられるんだけど、
それ1枚で充分におしゃれだったりして、
下手に飾り立てないことで自分も服も本領発揮。
野宮さんの言うワンピースやアンサンブルとは対極だけど、
それを基本にシンプルな良いものを合わせれば、
それで充分ほどほどにおしゃれ。
無印良品は相変わらず大好きだけど、
形や素材を選んで買うとそれだけでおしゃれ。
そして無印の持ち味であるシンプルさが、
より一層引き立つことになる。
無印をファストファッションに分類されると、
「それは違うと思うんだけど」と思ってしまう私。


野宮さんの年齢に言及する気はないけれど、
自分よりも年上の彼女が、
なぜ特別ではなくてもきれいでおしゃれなのか、
その秘訣を惜しみなく教えてくれる。
そしてその原動力がどこにあって、
どんな気持ちがそれを支えているのか。

おばさんになったからこそ、
気持ちの持ちようと、
ほんのちょっとの努力が必要。
ほんのちょっとの良いものが必要。
ほんのちょっとの気遣いが必要。

でも毎日それが出来れば苦労しないw。


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「たのしいプロパガンダ」 [電子書籍]


たのしいプロパガンダ (イースト新書Q)

たのしいプロパガンダ (イースト新書Q)

  • 出版社/メーカー: イースト・プレス
  • 発売日: 2015/09/10
  • メディア: Kindle版


内容紹介
本当に恐ろしい大衆扇動は、
娯楽(エンタメ)の顔をしてやってくる!
戦中につくられた戦意高揚のための勇ましい軍歌や映画は枚挙に暇ない。しかし、最も効果的なプロパガンダは、官製の押しつけではない、大衆がこぞって消費したくなる「娯楽」にこそあった。本書ではそれらを「楽しいプロパガンダ」と位置づけ、大日本帝国、ナチ・ドイツ、ソ連、中国、北朝鮮、イスラム国などの豊富な事例とともに検証する。さらに現代日本における「右傾エンタメ」「政策芸術」にも言及。画期的なプロパガンダ研究。

「プロパガンダ」というと、
ナチスや旧共産圏の国ぐにを思い浮かべることが多いだろう。
事実当時のポスターなどは、
その内容はともかくとして、
美術的には非常に価値が高いと思われるものが多い。
今見てもそこに書いてある文句は別にして、
その構図や訴求力の強さは目を見張るものがある。
一方戦前の日本はださい。
わかりやすいという点は評価するが、
欧米のプロパガンダと比べると、
どこか国民をバカにしているというか、
「とにかく国の言うことに従いなさい」ということしかない。
「プロパガンダ」とはそういうことではないと解釈している。
直接的なメッセージのみならず、
それを目にする耳にすることによって、
知らず知らずのうちに思想や思考が変えられていく。
それこそが「プロパガンダ」の真骨頂だと思うのだ。
ちなみに戦前日本のプロパガンダという点では、
民間企業の広告の方がよほど優れていた。
官僚、軍部指導の直接広告がダサいという点では、
今も昔も変わらない。

時代は変わって現代。
現在は力を落としているイスラム国ではあるが、
彼らのメディアを駆使したプロパガンダはすさまじい。
もともとイスラム圏のテロリストにはありがちなのだが、
視覚的効果、キャッチフレーズ効果を多用する。
そのあたり日本の政党にも見習ってほしいくらいだ。
(その思想や行動は見習っていただく必要はない)
北朝鮮のプロパガンダは言うに及ばずだろう。
何しろ独裁政治のもとで、
どこまでが本当でどこまでがウソなのかわからない指導者を仰ぎ、
「この国こそこの国の指導者こそ世界一」と思わせるのだから、
そのプロパガンダと教育は徹底したものである。
興味深かったのは金正日の映画を使ったプロパガンダである。
「プルガサリ」という怪獣映画は日本人も技術協力しているので知ったいたが、
それ以外にも抗日教育の一環として多くの映画を作っていた。
実際今Amazonを検索すると日本でも入手できるのだ。
もちろん観ていないけれど、
大体の内容は想像がつく。
娯楽(エンタメ)を利用した金正日のプロパガンダは、
非常に効果的だったことだろう。
ちなみに戦前日本でも同じように、
国威発揚映画が作られていたことはもちろんだが、
抑圧されて娯楽が少なければ少ないほど、
その娯楽によって洗脳されてしまう可能性は高くなる。
というか、
自分たちがつらい目に遭っているのはこういう意味があるのかと、
自家撞着に気づかずに自分たちを納得させるしかないからである。

では現代日本は?

最近やたらと目につく萌え系アニメとのコラボである。
私はゲームもやらないし、
萌え系にも全く興味がないので知らなかった。
筆者はこの本の中で右傾化する日本のプロパガンダにも触れている。
やり玉に挙がっているのが百田尚樹であり、
自衛隊の募集ポスター、防衛省の広報誌である。
百田尚樹という人がどういう人かは今更書くこともないが、
日本中が涙したという触れ込みの「永遠の0」を読んでも、
私にはどうしても納得がいかないことが多すぎた。
百田尚樹というエンターテイメント作家は幅広いので、
面白い作品もたくさんあるのだが、
首相とお友達になってからどうもきな臭さに拍車がかかり、
しょっちゅう炎上しているのは周知のとおりである。
これをプロパガンダに含めるのであれば、
余りに稚拙なプロパガンダだと言わざるを得ない。

本書は現在の日本のプロパガンダを評するために、
右傾化を批判しているようになってしまった。
その点は非常に残念であり、
中立的に評してほしかったと思うのだ。
それをどう受け取ってどう感じるかは読者に任せてほしかった。

噂の範疇でしかないが、
ここで取り上げられなかった事象や歌舞曲など、
プロパガンダであったといわれるものは多い。
大衆は娯楽(エンタメ)に乗せられて、
実に巧妙に誘導されていくものである。
それに気づいたとしても多勢に無勢、
少数がそれに抗したとしても無意味な場合は多い。
こうしたプロパガンダに抗するのに一番効力を発するのは、
トロイの木馬かもしれない。
取り込まれたふりをして腹の中から食い破る。
もちろんそんな時代が来ないことを祈るが、
世界中であふれるプロパガンダは決して止まることはない。
覚えておかなければならないのは、
プロパガンダは「たのしい」ということだ。
人々の興味を誘い、
巧みに精神に浸透していく。
気が付いた時には・・・。

もう少し資料の内容を充実させてほしかったところだが、
これはこれでなかなかに面白い読み物であった。


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「バッタを倒しにアフリカへ」 [電子書籍]


バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)

バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2017/05/20
  • メディア: Kindle版


メディア掲載レビューほか
一発逆転を狙ってモーリタニアに旅立った“バッタ博士"の記録
「大学院を出て、ポスドクとして研究室にいた頃は、安定した職もなく、常に不安に苛まれていました。博識でもなく、誇れるような実績もない。友達と楽しく飲んでいても、トイレにたったときに研究の手を止めた罪悪感に襲われる日々でした。なので、一発逆転を狙おうと」
日本ではスーパーで売っているタコの産地として知られるモーリタニア。バッタ研究者だった前野さんは、思い立って一路モーリタニアへ。このたび、かの地で経験した一部始終を記した『バッタを倒しにアフリカへ』を出版した。
「サバクトビバッタはアフリカで数年に1度大発生し、農作物に大きな被害を与えています。私はこのバッタの研究者なのに、人工的な研究室で飼育実験ばかりしており、野生の姿を見たことがなかった。自然界でのバッタを観察したいという気持ちもありました」
本書は、現地の言葉(フランス語)もわからずに飛び込んだ前野さんの冒険の記録でもある。
「渡航ぎりぎりまで、研究室でバッタを育てていて、フランス語の勉強を後回しにしちゃったんです。もう、とにかく現地に入れさえすれば、なんとかなるという気持ちでしたね。自分も人見知りではないほうでしたが、モーリタニアの人々は、道ゆく人がお互いに話しかける人懐こい人たちで、笑顔をつくる機会が多かったです。ちょっと分からないことがあっても、とりあえず笑顔で押し切りました」
世界的にみても、野生のサバクトビバッタの生態観察は、約40年ぶりになると前野さんは語る。活動が認められ、モーリタニアの高貴なミドルネーム「ウルド(〇〇の子孫)」を現地の上司から授かった。
現地にいってからも、なかなか出会えなかったバッタの大群。ついにまみえると、前野さんは長年の夢をかなえるべく、緑の全身タイツに着替えて仁王立ちに。本書のクライマックスだ。
「子どもの頃に、バッタの大群に女性が襲われ、緑色の服が食べられたという記事を読んで、自分もバッタに包まれてみたいと思っていたんです。今回、バッタにはスルーされましたが、なぜ私の衣装が食べられなかったのかも、ちゃんと調べています。アホかと思われるかもしれませんが、この夢を叶えるためにはバッタの食欲や飛翔、そして群れの動きを予測するための様々な研究が必要です。最終的に、私の頭の悪い夢がアフリカをバッタの食害から救うかもしれません」
評者:「週刊文春」編集部
(週刊文春 2017.07.06号 掲載)

ここまでの書評があれば、
私ごときが何を書こうというのかw。

要するに題名が全てを表しているので、
ある意味「モーリタニア紀行文」的にも読める。
もちろん最終目的は「バッタ被害の防止」なのだが、
何しろモーリタニアに着くなり、
60年ぶりの大乾季が訪れ、
雨がなければ大量発生しないバッタを追いかけるものの、
悲しいことに空振りの年となる。
人生の一発大逆転を狙った割には、
思いがけない不運から始まるのだ。
「学者貧乏」とはよく言ったもので、
昨今はIPS細胞で有名な山中教授でさえ、
「日本は若い人たちの研究環境が整っていない」と嘆く。
今や大学院へ行くことはステイタスでもなんでもなく、
研究者として生きるためには、
自ら多くの論文を書いて研究機関に認めてもらわなければ、
自分の好きな研究を続けることもできないのだ。
日本にいる害虫の撲滅とか研究していれば、
企業のニーズもあろうが、
アフリカで大量発生するバッタを退治するニーズがあるはずもなく、
著者は綱渡りの状態でモーリタニアでのバッタを追う生活を続ける。
余りにバッタに出会えないがゆえに、
どうしても論文を書くためにゴミムシダマシという虫の研究をしてみたり、
そこからの副産物ハリネズミを飼ってみたり、
いろいろと脱線しながらも、
彼は「バッタに食べられること」を最終目標に、
緑の全身タイツをもってバッタを追いかける。

この本がなぜ面白いかといえば、
ひとえに悲壮感がないからだろう。
書く人によっては「だめだ、今年もダメだった」「もう帰りたい」
そうなりかねないような日常なのに、
著者は自分で自分の生活の楽しみを見つけていく。
食事も生活習慣も拒絶することなく、
「郷に入っては郷に従え」式に生きている。
めんつゆで小さな幸せを味わいながらw。
研究者というとストイックなものだと思いがちだが、
著者はそういうものとはちょっと違うところにいる。
まぁ究極の人生の希望が、
「バッタに食べられること」であり、
バッタが好きすぎてバッタアレルギーになったくらいだから、
我々が考える類型的なポスドクの研究者とは違いすぎる。
だからこそこれほどまでに話が面白く、
特に文章がうまいわけでも何でもないが、
最後まで笑いながら感動しながら読んでしまうのだ。

日本の教育費は世界最低レベル。
その中で研究している人たちは非正規職員。
何かが狂っている。
日本だけではなく、
世界的に貢献できる研究であっても、
研究費をもらうのに四苦八苦。
著者は笑わせながら書いているが、
本当のところ、
そういう自分たちを取り巻く環境はアフリカより厳しいといいたいのかもしれない。

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「成功者K」 [電子書籍]


成功者K

成功者K

  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2017/03/10
  • メディア: Kindle版


内容紹介
ある朝目覚めると、Kは有名人になっていた。TVに出まくり、寄ってくるファンや知人女性と性交を重ねるK。これは実話か、フィクションか!?又吉直樹氏推薦、芥川賞作家の超話題作!

正直読み切るのがつらかった。
男の人はどう感じるかは知らないが、
微妙な性描写や女をモノとしてしか見ていないような感覚に、
途中で何度もくじけそうになった。

そしてようやく読み終わったとき、
脳裏に浮かんだのは自分の尾っぽを加えて丸くなった蛇。

どこまでが羽田圭介でどこまでが成功者Kなのか判然としない。
羽田圭介が自分の生活の変わりようを、
面白おかしく脚色して描いているのであろうが、
その描き方が露悪的というか、
最悪のやり方をしているとしか思えない。
極端であればあるほど、
「本当の羽田圭介は違うよ」と裏に書いてあるようであり、
それがゆえにフィクションであろう部分の、
欲望がむき出しの部分に男の本性を感じてしまった。

そもそも「スクラップアンドビルド」しか読んでいないので、
特別何を期待していたわけではない。
ただなんだかとても残念な気持ちになった。

そういえば羽田圭介、
「飛べサル」のピンチヒッターもやったっけ。
今思えばQRも何を考えたんだか。


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