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「ブレードランナー2049」 [映画]



実は風邪を引いていて、
おまけに近くの日大の学祭の開催もあって、
そのまたおまけに、
公開日から毎日上映時間が変更されるという変則的条件。
迷いに迷った末に、
土曜日の朝一のチケットを購入。
そこそこ人は入っていたけど、
女性は少なかったなぁ。

30年の間にタイレル社はウォレス社に吸収されて、
新しいレプリカントが産まれている。
レプリカントと人間の差はますますなくなっているけれど、
あくまでも人間にとってレプリカントは安価な労働力。
しかし30年前よりも、
更に深くレプリカントの感情と心は発達している。
主人公はブレードランナーとしてLAPDに勤めるレプリカントK。
その彼が追いかけるネクサス8。
寿命のないレプリカントに終わりの時を迎えさせるため。
そしていつものようにネクサス8を仕留めた後、
彼の住居の周りを撮影した映像から、
とんでもないものが発見される。
それはあってはならないものであり、
しかしながらウォレス社が望んでいるもの。
その鍵を握ると思われる逃亡したデッカードを、
Kは手かがりを求めて追い始めるが、
やがて彼に移植された記憶とある事実が重なり始め、
Kはレプリカントとしての命や魂に触れていくことになる。

独特の退廃感は少なくなったものの、
むしろ荒涼としたゴーストタウンや砂漠の映像が、
何ともいえない寂寞とした感情を引き起こす。
前作の湿った退廃的町並みを期待すると裏切られるが、
30年経てば現実の町並みだって変化するものだ。
むしろ変わらない方がおかしい。
前作がカルト化したことによって、
変化を受け入れられないファンの反応がコワイが。

今回はもはや命とか魂の根源を問う、
新しいカルト映画。
ウォレスがやりたいことは、
純粋に量産できないレプリカントを増やしたいからなのか、
それとも彼自身が神になろうと言うつもりなのか。
一方のレプリカントたちは、
そのことによって何を実現しようとしているのか。
デッカードを見つけたKが問いかけたかったのは、
己の命に対する根源的問題。
前作よりもより深くいろいろな意味で深すぎる。

しかしなぁ、
ハリソン・フォードよく頑張っていた。
今年後期高齢者になったハリソンに、
あそこまでやらせるんだから、
本当に役者って大変。
でも最後の表情最高でした。

前作同様、
あーだこーだ書き連ねたところで、
わかる人はわかるし、
全然理解できない人には理解できないだろうな。
3時間近い上映時間でかなり逡巡したけれど、
途中で退屈したらどうしようかと思ったけれど、
全く途中でだれることもなく、
次から次へと展開される話についていくのに必死。
前作よりもより深い命題に突っ込んで行っているので、
より一層考えさせれること必至。


ネタバレを承知でひと言。

「灯台下暗し」。

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「アウトレイジ 最終章」 [映画]



加瀬亮の演技が観たくて足を運んだ「アウトレイジ」。
「仁義なき戦い」とも「極道の妻たち」とも全く違う、
現代ヤクザの非道な世界は、
一見極道の話だけれど、
ちょっと役割を変えてみたら、
どこの社会でもある話じゃないかと気付き、
以来「アウトレイジ」から目を離せなくなる。

ひと言で言って
「西田敏行大暴走」w。
「アウトレイジ ビヨンド」で登場した関西花菱組。
日本側がえげつない関西弁だからこれまたスゴイ。
韓国人フィクサーたちの静けさに反して、
関西ヤクザはやたらとえげつない。
この対比に古き良き筋を通す大友が絡んだからさぁ大変。

「アウトレイジ」シリーズは、
見終わった後のクルマの中で頭が空っぽになる。
何について考えるでもない。
考えられないのだ。
事の起こりから終わりまで、
けっきょくは大友という男の、
義理人情と筋を通した行動に、
今時の社会や企業では見られない、
日和見でも自己防衛でもない、
本当の男の生き方に打ちのめされてしまうのだ。
今回も気付いたら家に着いていた様な有様である。

北野武という映画監督の評価が、
なぜ今ひとつ日本では得られないのか。
おそらく日本人はわかりやすいハリウッド映画に毒されすぎたのだ。
だから北野映画にある行間の意味や奥深さ、
ヤクザの世界を描いているからと言って、
それが直接的なヤクザの抗争ではなく、
実は社会の縮図であることを理解しきれないのだろう。
それは強烈な映像表現のためでもある。
派手なドンパチをやらかして流血あり、
怒鳴り合いありのインパクトが強すぎて、
殆どの観客はそれで打ちのめされてしまう。
考える余地がないほどに。

忠義を尽くす相手は変わっても、
大友は自らの筋を貫き通した。
何年かぶりにスクリーンで観たビートたけしも歳を取った。
もうこれ以上大友を演じることはキツすぎるだろう。
そして何よりもエンドレスで繰り広げられることを、
北野監督は望まなかったに違いない。
大友の志を理解している人間は残った。
それでもう良いのだ。


話変わってピエール瀧。
いやぁ予告編から瀧さんやばい雰囲気あったけど、
本当にヤバい人だったw。
でも北野監督はピエール瀧という人が、
電気グルーヴの人であることを知らなかったという驚愕の事実。
つまり俳優として純粋に起用したと言うこと。
また花田という役柄がよく似合う。
がたいも良いしドスも利いているんだけど、
まだまだ小物で小心なところがあって、
かつ変態w。
まさに適役w。
光石研もなんかイヤな雰囲気を醸し出していたけれど、
やっぱりヤバいヤツだったし。
そして何処かでコメディアンとしての本質を忘れない、
時折笑っちゃう脚本。

北野監督のことだから、
スピンアウトなんて絶対ないだろうけど、
大友の若い頃とか描いたら、
それはそれでまた面白いかも。



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「ヒトラー暗殺、13分の誤算」 [映画]


ヒトラー暗殺、13分の誤算 [Blu-ray]

ヒトラー暗殺、13分の誤算 [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ギャガ
  • メディア: Blu-ray


【ストーリー】
1939年11月8日、恒例のミュンヘン一揆記念演説を行っていたヒトラーは、いつもより早く切り上げた。
その後、仕掛けられていた時限爆弾が爆発――ヒトラーが退席して13分後のことだった。
その爆弾は精密かつ確実、計画は緻密かつ大胆、独秘密警察ゲシュタポは英国諜報部の関与さえ疑った。
しかし、逮捕されたのは36歳の平凡な家具職人、ゲオルク・エルザー。彼はスパイどころか、所属政党もなく、たった一人で実行したと主張。信じ難い供述の数々―。
それを知ったヒトラーは徹底的な尋問を命じ、犯行日までの彼の人生が徐々に紐解かれていく。

なぜ彼はたった「ひとり」で暗殺計画を実行したのか。
ナチスが台頭し、
世の中がどんどん変わっていく中で、
彼は何を感じて、
誰のためになんのために、
たった一人でヒトラーを暗殺しようとしたのか。

劇場公開時から観たいと思っていたけれど、
まさかたった1年でWOWOWに登場するとは。

この作品の背景を、
現代の日本に置き換えてみるとどうだろうか。

もしかしたら、
今の日本にも彼のような人間は存在するのかも知れない。
(そういえばそれらしいこともかつてあった)
ただ、今のご時世では、
そうそう簡単に実行にまでは至らない。
それでも彼のように、
「祖国の危機」を感じている人は多いのではないだろうか。
友人や家族が追い詰められていく中、
「自分がやらなくては」と彼が思ったこと、
それを誰も巻き込まずにやろうとしたこと、
それはとりもなおさず、
「時代」がそうさせたのだと言うこと。

彼が誤算なく決行したできたとしても、
歴史は変わらなかったかも知れない。
一度水が流れ出したら、
その方向を変えることも止めることも容易ではない。
彼もまた、
後には「英雄」となるのかも知れないが、
その時には「犯罪者」である。
歴史に「もしも」はない。
あるのは厳然たる事実だけだ。
しかしもし彼に学ぶことがあるとすれば、
たった一人の力であっても、
流れを変えようとする意思を捨ててはならないということだ。
どんなに小さな力であっても、
蟻の一穴であっても、
それがやがては大きな時代の流れの中で、
一つのピリオドを残すこともあるのだから。

「この世界の片隅に」の時もそうだったが、
我々は歴史を知っていて映画を観ている。
もしかしたらあの時、
ヒトラーが殺されていた方がヒトラーにも幸せだったかも知れない。
ドイツが陥落してもなお抵抗を続けた日本は、
歴史が変わっていたかも知れない。


いずれにしても、
正しい戦争などないのだ。
「正当化」することはできても、
そこにあるのは殺戮なのだから。

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「十二人の怒れる男」 [映画]


十二人の怒れる男 [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: Blu-ray


<ストーリー>
17歳の少年が起こした殺人事件に関する陪審員の審議が始まった。誰が見ても彼の有罪は決定的であったが、一人の陪審員は無罪を主張。そして物語は思わぬ展開に!

この名作を観ていなかったので、
スカパー!で放映していたのを録画して。

日本でも裁判員制度が始まって、
実際に裁判員を務めた人のPTSDなども問題になっている昨今、
人間が同じ人間の有罪無罪、
事によっては命を奪うことまで決めてしまう制度。
一見民主的に見えるけれど、
人間は感情の動物だから決して必ずしも公平などあり得ない。

最初から「有罪、死刑」と決め込んでいた陪審員たちに、
ヘンリー・フォンダが投げかけた疑問から、
様々な検証の手落ちや気付きが陪審員の気持ちを揺るがせて。

陪審員一人ひとりは善人だし、
別に犯人に個人的恨みや憎しみがあるわけじゃない。
ただ仕事としてこなそうとしているだけ。
いろいろな証言や物証から「有罪」と決めているのも当然。
それを丁寧に検証していったときに、
浮かび上がってくる思い込みや足りない検証。
密室で行われる12人の男たちの心理劇でもあり、
杜撰な捜査や弁護による冤罪への警告でもあり、
実に見事に凝縮された濃密な作品。

派手さはないけれど、
名作と呼ばれるにふさわしい一作。
未見の方は是非とも。

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「エイリアン:コヴェナント」 [映画]








これを実は「エイリアン」シリーズと知らなくて、
観ていなかった人たちが観たら、
全然わからなかったんじゃないかなぁ。
と言うか、
まさかあの完全無欠で凶悪なエイリアンを作り上げたのが、
○○○だったなんて・・・。
「プロメテウス」を観ていないと理解できないだろうなぁ。

リドリー・スコットはどうしても、
ただ不思議な生物としてのエイリアンを描くだけじゃなくて、
最初のエイリアンに登場したパイロットの秘密や、
エイリアン誕生秘話を描きたかったのだろう。
不幸にして「プロメテウス」がエイリアンシリーズだと宣伝充分ではなく、
日本では散々な吹き替えによって悪評紛々、
「エイリアン誕生の秘密」という宣伝文句だけで観たら、
せっかくの世界が台無しという不遇さ。
同情してやまない。

しかし相変わらずリドリー・スコットの力は衰えず。
最初の「エイリアン」ほどの緊迫感はないけれど、
アレはスペースアクションホラーの大傑作であって、
今回はそこに至るまでの、
「プロメテウス」と「エイリアン」までの間を埋める、
大事な恐ろしい現実を描いているわけで、
むしろ一番恐ろしいのは、
冒頭に登場するウェイランドであり、
彼こそが諸悪の根源なのだと言うことである。
彼が○○○を作り出さなければ、
ノストロモ号の悲劇もリプリーのその後の悲劇もなかった。

シリーズものの面白さとか、
相関関係をネタバレなしに語るのは難しい。
しかしリドリー・スコットは40年掛けて、
シリーズの落とし前をつけたわけで、
次はどうやら「ブレードランナー」の落とし前をつけるらしい。

老いてなお意気盛んな監督の情熱は、
イヤと言うほど伝わってくるので、
満足感はものすごく高い。


とはいえ、
終映後の客の会話を聴いていたら、
「わかっていないなぁ」って言う人もかなりいたので、
TVで「エイリアンシリーズ」観たから観たい、
って言う人にはちょっとキツイかも。
Amazonビデオで100円で観られるので、
とにかく「プロメテウス」を観ておいた方が良い。
因みにスピンオフのプレデターと戦っちゃうヤツとかは、
全部なかったことにして良いからw。


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「エレファント・マン」 [映画]


エレファント・マン [Blu-ray]

エレファント・マン [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
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内容(「キネマ旬報社」データベースより)
デイヴィッド・リンチ監督が手掛けた実話に基づくヒューマンドラマ。19世紀末のロンドンを舞台に、特異な容姿から“エレファント・マン”と呼ばれた男・メリックと主治医との交流を描く。“KADOKAWA 洋画セレクション”。

大号泣。
リンチ特有のフリークス趣味だと思っていたので、
その底辺にあるヒューマニズムと、
人間の醜さに心の底から震撼。

以前にも書いたことがあるが、
私は中学から20歳で母親が亡くなるまで、
リウマチで指や足が変形した母と行動を共にしていた。
もちろんそんな状態だから、
美意識の高かった母親は外出を好まなかったが、
それでも病院にも行かなければならないし、
何かと車椅子を押しながら外出はしていた。
そんなとき年齢の高い人ほど、
嫌悪感と醜いものを観る表情を露骨に見せた。
今ほど街はバリアフリーではなく、
車椅子で移動するのはかなり大変だった。
そんなとき手を貸してくれるのは、
いつも若い人だった。
学生さんやOLさん。
年配の女性はともかく、
男性も手を貸してくれる人はいなかった。
もう30年以上も前の話だから仕方ないのだが、
当時は身障者には本当につらい時代だった。
でも「あん」を読んで映画を観たとき、
年配の人たちの心の中に「ハンセン氏病」があったのではないか、
そのことにはたと思い当たった。
だから汚れたものを観るような目をしていたのでないか。
若い人たちにはそんな偏見や知識がないからこそ、
純粋に手を貸してくれたのではないか。
そんな思いが去来した。

この映画を観て、
その思いをちょっと思い出したが、
それ以前に理解できないもの、醜いものへの本能的嫌悪感や、
良い意味ではない好奇心や優越感、
むしろ人間誰しも持つそんな感情に思い当たった。
自分を見世物にすることでしか生きられなかったジョンが、
彼を人間として扱ってくれて、
美しいものに触れることを許されて、
美しいものを愛することを覚え、
人間として生きることに目覚めたとき、
彼は愛してくれる人たちに最大の感謝の念を抱き、
彼の夢見ていたことを実行する。
それがあのラストシーンなのだが、
彼の心を思ったら涙が止まらなかった。
彼の人生の大半はつらく苦しいものだっただろうが、
その苦しんだ分と同じくらいの幸せと感謝、
彼はその晩年で充分過ぎるほどに感じたのだろう。

しかし昔も今も変わらないのだなと思うのは、
病院の考え方だ。
急性期の患者のためにベッドはあるのであって、
慢性期の患者をベッドにおいては置けない。
それは至極当然のことなのだけど、
この考え方を続ける限り、
今の医療の在り方も変わらない。

境遇も生き方も何もかもが違うけれど、
あんな風に美しいものを素直に愛でて、
自分を大切にしてくれた人たちへの感謝に満ちて、
何もかも満ち足りた気分で死の床につきたいものである。

ああ、何度思い出しても涙がこみ上げてくる。



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「イット・フォローズ」 [映画]


イット・フォローズ [Blu-ray]

イット・フォローズ [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • メディア: Blu-ray


[内容解説]
19歳のジェイは男と一夜をともにするが、その後、男が豹変。縛り付けられたジェイは「“それ"に殺される前に誰かにうつせ」と命令される。
“それ"は人にうつすことができる。
“それ"はうつされた者にしか見えない。
“それ"はゆっくりと歩いて近づいてくる。
“それ"はうつした相手が死んだら自分に戻ってくる。
そして、“それ"に捕まったら必ず死が待っている。
果たしてジェイは、いつ、どこで現れるかわからない“それ"の恐怖から逃げきることが出来るのか―。

WOWOWでの放送を見つけ、
「あ、町山さんが前に紹介していたっけ」と思いだして。

怖いっす。
「それ」は感染者にしか見えなくて、
それもどんな姿で現れるかわからなくて、
ただひたすらゆっくりひたひたと近づいてくる。
そしてそれから逃れるには、
セックスで誰かにうつすしかない。
うらぶれたデトロイトの街で、
ティーンエイジャーたちが、
何とか「それ」から主人公を救うべく、
「それ」から逃げるのだけど、
「それ」は感染者にしか見えないから、
周りは何かが起こってからしか行動が起こせない。
いつどこから現れるかわからないから、
安息の時はない。

単純なホラーのようで、
深読みしていくと結構面白い。
カメラワークやちょっとした物音、
けっこう尻軽な主人公、
で、「それ」をうつすわけにはいかないから、
本当にしたい人とセックスはできない。
娼婦の姿を映すシーンがあるんだけど、
この娼婦が殺されちゃったら、
また自分に戻ってくるから、
事情を理解できる人間にしかうつせない。
つまりワクチンのないウィルスを、
自分が助かるために感染させ続けるエンドレス。
「殺される前にやって感染させていけ」
これは何を暗喩しているのか。

今の時代で考えると、
「ずぶずぶ」の関係がこれかも知れませんな。
「やられる前にやれ」
だけどやられたらやり返すことはできない。
これぞエンドレスな軍産複合体とか、
原発の仕組みにも似ていますな。

もっとも監督はそこまで政治的な事は考えていないみたい。
何を考えるかは観た人の自由と言うことで。

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「3月のライオン後編」 [映画]



初日初回上映が8:20!
今なら行けるから行ってきました。
余りにも前編が良くできていたので、
後編がどうなるのか知りたくて。

結論。
もう感動です。
前編が桐山君が生きる将棋の世界が、
どれほど緊張感を強いられて、
どれほど過酷な世界なのかを描いたのに対して、
後編はそれを踏まえた上で、
桐山君が生活する世界が、
如何に愛に満ちていて光ある世界か、
桐山君が目を開いて素直に受け入れる物語。
ひなたちゃんのいじめ問題も、
うまくはしょりながら織り込んでいて、
桐山君の「守りたい」という気持ちに火をつける。
「将棋しかねぇんだよ!」と叫んでいた少年が、
自分の身の回りにあふれる愛に気付いて、
人との関わりと愛情にやっと踏み出していく。

しかし。

いつものことながら、
伊藤英明、好きじゃないんだけど、
彼が出ると彼の映画ができちゃうのがスゴイ。
今回も微妙な役どころだったけど、
ちゃんと一つのEpisodeの主人公なんだよね。
そして神木君には悪いけど、
やっぱり並ぶと絵としては持って行かれちゃう。

高橋一生の先生も適役だったねー。
佐々木蔵之介も特殊メイクしているのかと思うほどだし、
誰も彼もが原作の世界を壊さないまま、
存在感を残しているのはさすが。

そして台詞が極端に少ない加瀬亮。
スゴイです。
「アウトレイジ」観た時から、
「あ、この人、今まで良い人ばっかり演じてきたけど、
 含みのある役柄やらせるとすごいわ」と思っていたけれど、
今回も少ない台詞ながら、
スッとした静かな佇まいの中に見せる苦悩とか、
ちょっとした狂気にも似た天才ぶりとか、
「これだけで演じちゃうんだぁ」って感心しきり。

マンガの方はまだ終わっていないんだけど、
映画のあの終わり方も良かったし、
羽海野チカ先生も満足しているんじゃないかな。
何よりも原作の雰囲気を全然壊さないで、
実写映画化したって言うのは奇跡だし、
実際の俳優が演じるからこその凄味ってものを、
伊藤英明、佐々木蔵之介、加瀬亮から感じました。

マンガのドラマ化や映画化が多くて、
中には「大奥」みたいに分断したが故に、
どうしようもなくつまんなくなっちゃったものもあるけれど、
志あるスタッフと役者に恵まれると、
こんなに素晴らしい作品ができるんだという見本のような作品。

今の私には、
「自分の中で作り上げた化け物に負けるな」という、
豊川悦司の台詞が強烈に響きました。

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「ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命」 [映画]



おすぎさんお薦めだから期待していたんだけどなぁ。

実在の人物を演じることの難しさ、
ナタリー・ポートマンはナタリー・ポートマンにしか見えなくて、
もう少し似ている人いなかったの?って感じ。
思えばおすぎさんお薦めで観た「アンナ・カレーニナ」も、
全然女として共感できなかったし、
おすぎさんとの年齢差と、
おすぎさんの方が「女」って事なのかもね。

話としては、
まだ何も実績を残していない大統領の暗殺に際して、
その大統領が殺されたことが如何に損失であるか、
或いはどれほどの罪を犯したのか、
要するに実物の大統領の実績以上に、
その葬式で「偉大さ」を演出することが未亡人の勤めだったと。
実際の報道映像を観ているものとしては、
「小さな子供たち」の父親を奪われて、
これから偉大な仕事をするはずだった大統領を殺されて、
「こんなに大変なことをしてくれた」という演出、
わかるけどわからない。
なんか未亡人として夫を如何に大きく見せるか、
その自尊心とか見栄とか、
そんなものばっかりが気になっちゃって。

ナタリー・ポートマンはよく頑張っているんだけど、
あの独特のジャッキーの存在感には遠く及ばず。
似てはいないけど、
シャーリーズ・セロンあたりがやった方が、
もっと腹の据わったジャッキーになった気がする。

私たちは歴史としてケネディ家の悲劇も知っているし、
暗殺当時幼女だったキャサリンがその後日本に来ることも知っている。
それだけになんとなく醒めてみているところもあるかも。

因みに観客は60歳以上の夫婦連れが多かったです。
おそらくあの中継をリアルタイムで観ていた人たち。
日本の若者は興味ないだろうなぁ。

政治的駆け引きやケネディ家としての尊厳とか、
いろんなものが交錯して、
けっこうお腹いっぱいで辟易する瞬間あり。
これも万人には勧めないです。


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「レヴェナント:蘇えりし者」 [映画]


レヴェナント:蘇えりし者 2枚組ブルーレイ&DVD(初回生産限定) [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
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<ストーリー>
1823年、毛皮ハンターの一団はアメリカ西部の未開拓地を進んでいた。隊長のヘンリーを先頭に、ガイド役のヒュー・グラスとその息子のホーク、そしてグラスに対して敵意を抱いているフィッツジェラルドたち一行だったが、ある時、先住民に襲撃され多くの犠牲者を出す事態に。生き残ったグラスたちは危険な川を避け、船を捨てて陸路で砦に戻ろうとするが、グラスは巨大な熊に襲われて瀕死の重傷を負ってしまう。隊長のヘンリーは余命わずかに見えるグラスを残して行くことを決断。息子のホーク、金に釣られて居残ることにしたフィッツジェラルド達にグラスの最期を看取るよう命じるが……。

ディカプリオが念願のアカデミー主演男優賞を取った一作。
ということで、
かなり期待して覚悟して観たわけだけど。

撮影は非常に美しい。
自然光に拘ったと言われているが、
その分観にくい映像もあるが、
極寒の土地で繰り広げられる、
その厳しさと容赦ない自然がハンパなく伝わる。

ディカプリオの演技も素晴らしい。
台詞も少なく、
まさしく身体で演じる役柄であるが、
ベジタリアンの彼が生の動物の内臓や魚を貪ったり、
極寒の大地を傷付いた身体を執念で動かし、
自分を見捨てて息子を殺した男への復讐へと向かう。
その鬼気迫る演技は見事。

ただし、ストーリーは凡庸。
町山さん言う所の「熊に喰われた男」が一番わかりやすいのだが、
そこから執念で甦って息子の復讐をする。
大自然の中生き延びるために様々な事は起こるしするけれど、
所詮はストーリーの一部であり、
取り立てて政治的なメッセージも感じず、
単純に「熊に喰われた男」の復讐劇。
日本人には当時の時代背景がわからないし、
先住民と所謂アメリカ人との関係やら、
毛皮商人とか先住民との間に子供を作った主人公の立場とか、
全く説明がないので理解しにくい。
普通に観れば執念の復讐である。
こう言う物語の場合、
先住民特有の考え方や暮らし方、
彼らなりの倫理や論理が登場するのだが、
そのあたりも中途半端なままでよくわからない。

壮大な一作ではあるし、
長尺を退屈させずに観させる力はあるが、
「傑作」かと問われれば個人的にはNOである。

同じ復讐劇なら、
「デスペラード」の方が余程わかりやすく、
爽快感がありつつも皮肉もあり、
決して大作ではないが傑作と言える。

まぁレオ様が頑張っているので、
今までいくら汚れ役をやって頑張っても、
意外性のある役で頑張っても取れなかったオスカーを取った記念として、
観ておくのも一興かと。
あ、撮影の素晴らしさはちょっとしたものなので、
それだけは褒めておきます。

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- 人生は四十七から -